なにか、彼のことがわかるものはないものか・・・・。重い体を引きずり自分の部屋をさぐってみる。

アルバムはどこにいったのだろう?


<薬用ライフ・6>


クローゼットのなかで隠されるようにして放置されていたそれ。ずきずきと痛み始める頭。

1ページめくるごとに増していく頭痛は、眩暈にも似た不快さをよこした。

始めの方は家族の写真(もちろん8割は明日香の写真)
中間になると友人達の写真になっていた。 亮がいて、(これは確か隠し撮りだった気がする。亮があまりにも嫌がるから、こっそりと) 大学の同級生や後輩、それから女の子たち。

あのやわらかな緑色が見えないことに焦りを覚えた。

どこだ?

一体どこに?

ばらばらとめくる手に力が入る。

そして、

後ろの方に、昨日会ったはずなのにずいぶんと久しぶりな彼がうつっていた。
名前は分からなかったが、ただ嬉しかった。

嬉しいのに、悔しくて、悲しくて、切なくて
・・・・・・・愛おしくて



普段はおとなしいのに、誰かの為になら積極的になっていた。
僕や亮のように兄弟がいることを「羨ましい」と言っていた。
たまにずばずばと的確なことを言って、反論できないこともあった。
それでも最終的には世話焼きのお人よしで終わってしまう。
寒い日は猫のように身を縮めて完全防備で「寒い」と文句を言っていた。
熱くなったら夏バテになって、亮に食事のことで怒られたりもしていた。
僕の部屋に泊まったときは、帰りに買った抹茶アイスを食べながら
二人でテレビを見ていた。

写真を見るたびにそのときのことが思い出される。そのたびに脳はこれ以上の記憶は許さないとばかりに痛みを投げつける。

どうして彼の記憶が許されない?

どうして僕はわすれていたんだ?

どうして・・・・


彼に「忘れてくれてもかまわない」なんて言わせてしまったんだ。



(あとがき)
本 当 に 短 い ね この蟲野郎!!! でもホラ・・・あの、全部つなげたら長くなるから長編ってことでいいですか?(聞くな) 精進します・・・(アレ?この台詞デジャヴ?)