大学生パロディ
吹藤で、亮はかけがえのない親友です。



蒸し暑い季節に入った最近、今日はお気に入りの抹茶アイスのカップを5,6個ほど買った。
そのうちの1個を口にほおばりながらふとテレビのほうに目を移す。 近所であったらしい交通事故のニュースが流れていた。
なんとなく、抹茶の苦さが増した気がして、よくよく見ずに原因のテレビをけす。 ぷっつりときれたそれは何事も無かったかのように黙り始めた。
さて、レポートでもやり終えてしまおうか。
今回の課題はどちらかというと苦手な分野。
先生からの期待が常にあるから、苦手と言うだけで手を抜くことは出来ない。 まぁ、期待を受けつつも気にしないマイペースな天才もどこかにいるんだけどね。
例をあげるなら亮が一番いいかもしれない。 じりじりと熱気を放ち続ける太陽に一度目を向けて、再度机に向かう。
抹茶のアイスがすこし溶けかけていた。


<薬用ライフ・1>


何か忘れたいことがあったわけでもなかった・・・・・はずだった
(そう、“なかったはず”なんだ)
ただなんとなく今日は、強いわけでもないビールを胃の中に押し込めたかった。 1,2,3、4・・・・何本目かのビール缶に手をかける。
ぐらりと歪む視界。
ああ、さすがに飲みすぎたかな・・・?なんて考えるうちに体は睡魔へ全てを預けた。

わー・・・・あはは・・・・でもそんなことってあるんですか?・・・・いや意外と・・・・

何だろう?テレビだろうか?
でもテレビなら昼間にあのニュースを見た後にけしたはずだった。 意識だけが浮上して、体はいまだ睡魔の手の中。体がだるい。 思うように体が動かない為、目だけをテレビの方に移す。

「あ。起きた?」
彼が見てたのか・・・・。目の前の状況を起ききれていない頭で整理する。 柔らかな緑がゆれて、紫が僕の顔を覗き込む。
彼の片手には昼間に買った抹茶アイスがあった。そして食べかけ。
「言うのが遅れちゃったね。天上院、アイスいただきます」
「どうぞ」
いつもならもっと言葉がすらすらと出てくるのに、寝起きのせいか喉が渇いて声が出てこない。 そんな僕を察したのか、彼は「水もってくるよ」と言って台所に向かった。
「はい」
「ありがとう」
「でも、なんで今日はこんなになるまで飲んだの・・・・?」
「ん~なんとなく飲みたくなって・・・・」
本当になんとなく。それ以外なぜか理由が見つからない。
「酒は飲んでも飲まれるな・・・・って言葉知ってるか、天上院」
あきれたような、怒ったような声が、不機嫌な彼からつむがれる。そんな声色に安心した。
愛されてるなぁ・・・。ぽつりと呟くと彼は案外きっぱりと言い切った。
「だって愛してるしね」
不意打ち。でも、押されてばかりじゃたまらないから、
「愛のことなら僕だって負けないつもりだけどね」
なんて反撃したら、彼はクスクスと笑った。